そもそもアジャストとは?

今回のテーマはズバリ「プレイスタイルとアジャスト」だよ。
大事なテーマだから3回に分けて解説していくね。



プレイスタイルはタイトとかアグレッシブとかのことだよね。
でも、アジャストってなに?



アジャスト(adjust)は相手の戦略に対してより有利な戦略(メタ戦略)を用いることだよ。



ふーむ、具体的には?



例えばルースアグレッシブ(LAG)って聞いたことないかな。
すごく広いレンジでオープンして、フロップ・ターンで毎回大きなベットを打ってくるようなプレイスタイルだよ。



ああ、そういう人と戦うのは苦手だなあ。
いっつもフォールドさせられちゃうよ。



LAGに対してフォールドしすぎると相手の思うツボなんだ。
だからレンジを調節したり、レイズの頻度を上げたりして対応しなきゃいけないんだね。



そうやってメタ戦略を適切に使えば、短期的には運悪く負けることはあっても、長期的には期待値をプラスにできるんだね。それがアジャストだよ。



いいじゃん!もっと詳しく知りたいかも。



OK、次の章で詳しく説明していくね。
アジャストの方法は二つ!



さて、プレイスタイルの分類と具体的なアジャスト方法は長くなるから次回にしようかな。



今回は「そもそもアジャストってどんなやり方があるの?」っていう概論的な話をするよ。



はーい。



実はね、アジャストには二つのやり方があるんだ。
- 簡易的アジャスト
- 相手のプレイスタイルに基づいてレンジやプレイラインを調節し、全局面に対応する戦略を立てる
- GTO的アジャスト
- 特定の局面におけるGTO戦略と相手の戦略との「ズレ」を特定することで、その「ズレ」にアジャストする適切な戦略を立てる



先生、1番は何となくわかるけど、2番は何言ってんのかわかんないです・・・。



大丈夫、一つずつ解説していくから安心して。
まず、「簡易的アジャスト」だけど、これはさっきのLAGプレイヤーを例に考えてみようか。



毎回フロップやターンでベットしてくるってことは、彼は弱いハンドでもベットしてるはずだから、まずはレイズの頻度を増やすとアジャストできそうだと思わない?



そっか、LAGはどうせ大したハンドは持ってないんだから、「調子乗んな!」ってレイズしちゃえばその場でポットが取れるかもね。



うん。あと、プリフロップでも同じことが言えるよ。
LAGはすごく広いレンジでオープンしてるんだから、それに対していつもより少し広いレンジで3ベットを打つのも有効そうだよね。



うんうん、確かに。



これが1番の「簡易的アジャスト」だよ。
相手のレンジやベット頻度からプレイスタイルを想定して、いろんな局面に対応できるようなメタ戦略を立てるんだ。



うん、いいじゃん!
っていうか、アジャストってそういうもんなんじゃないの?



実はこの「簡易的なアジャスト」には一つだけ問題があるんだ。
例えばさっきのLAGの話だとね、具体的にどんなハンドでレイズするべきかまではわからないんだよ。



いくら何でもすべてのハンドでレイズするのは良くなさそうだよね。
実際にはコールしたりフォールドしたりするハンドもあるはずなんだ。



どんなハンドでレイズすべきか・・・。
うーん、確かに難しそうだね。



例えば[K❤️][5♠️][3♠️]のボードでLAGから大きなベットを打たれたとき、[7♠️][6♠️]のコンボドローでレイズするのはいいかもしれないけど、[A♦️][4♦️]だとどうなんだろう?



フォールドすべきかもしれないよね。トップペアの[K♣️][J♣️]はコール?レイズ?[4♠️][4❤️]はフォールド?まさかのレイズ?



「簡易的アジャスト」はこういう一つ一つのハンドを厳密に分析することはできないんだ。教えてくれるのは「レイズ頻度を上げればアジャストできそう」という全体的な方針だけなのさ。



うーむ、困ったね。どうすればいいの?



それを教えてくれるのが2番の「GTO的アジャスト」なんだ。
これはGTO(ゲーム理論最適化)をうまく使ったアジャスト方法で、具体的にどんなハンドでレイズ・コール・フォールドをすればアジャストができるかを教えてくれるよ。



すごい!どうやるの?



そもそもGTOとは「絶対にアジャストされない完璧にバランスの取れたプレイ」なんだ。
だから、相手のプレイやレンジがGTOから外れているとすれば、逆に言えばそれは「アジャストされ得るプレイ」と言えるわけだね。



な、なるほど・・・。GTOは絶対アジャストされないんだから、もしGTOじゃないプレイをしてるなら、それは何かの戦略でアジャストされちゃうってことなのね。



うん、そういうことなんだ。そしてその「何かの戦略」はGTO計算機で計算可能なんだよ。



相手の「GTOからのズレ」を考慮してGTOを再計算すれば、一つ一つのハンドでレイズが正解なのか、フォールドが正解なのか、あるいは何%をレイズにして何%をコールにするのか、具体的に教えてくれるのさ。



ほえー、よくわかんないけど、そんなこともできるんだね。



ところが、このやり方にも欠点があるんだよ。
確かにGTO的アジャストは厳密な答えをくれるんだけど、これは相手のポジション・スタック・レンジ・CB率などをいちいち設定して、具体的な状況を作り上げて初めて計算できるものなんだ。



だから、ゲーム全体を通してどうプレイすればアジャストできるのか、そういう全体的な方針は教えてくれないんだ。



うーん、イメージ湧かないなあ。
もうちょっと詳しく教えて?



例えば、さっきの[K❤️][5♠️][3♠️]のボードでLAGがCBを打ったとするよね。このときに[K♣️][J♣️]を持っているなら、10%の頻度でレイズして、90%はコールすればアジャストできるとGTOが教えてくれたとするよ。



でも、GTOは別に「トップペアを持ってたらLAGに対して常に10%レイズしよう」と言ってるわけではなくて、ボードが変わればレイズする頻度も変わるだろうし、コールだけになることだってあるんだね。



つまり、設定した状況が変わればGTO的アジャストのやり方も変わるんだよ。



じゃあ、状況ごとにいちいちGTOの計算をしなきゃいけないってこと?



それができれば最高なんだけどね。



でも、カジノでプレイ中に「今からパソコンでGTO計算するからちょっと待ってて」なんて言うわけにもいかないよね。
すべての状況でGTOを再現することは現実的じゃないんだ。



あちらが立てばこちらが立たずだね。



そうなんだよ。簡易的なやり方はゲーム全体のアジャストの方針を教えてくれるけど、精度はやや低いんだね。



一方で、GTO的なやり方は一つ一つの状況では精度の高いメタ戦略を教えてくれるけど、ゲーム全体の方針については教えてくれないんだ。



うーむ、なるほど。結局どうすればいいのさ?



個人的な考えだけど、ひとまずは簡易的アジャストだけで十分だと思うよ。



あ、そうなの?



うん。この【初級編】と【中級編】はカジノの低レートで勝ち越すための技術を紹介してるんだけど、そもそも低レートで戦うためにGTOのスペシャリストになる必要なんてないんだ。



それよりもバリュー・ブラフをきちんと理解してプレイしたり、一人一人のプレイヤーの弱点を見抜いて個別にアジャストしたり、バンクロール(資金)を適切に管理するほうがよっぽど大事だよ。
それは断言できるよ。



そっか、ホッとしたかも。



プレイスタイルごとの簡易的アジャストを一通り学んで、実戦で悩んだハンドやよくあるシチュエーションが出てくれば、それをGTO的アジャストでちょこちょこ復習してみるといいんじゃないかな。



あくまでも簡易的アジャストをベースにしつつ、GTOを取り入れながら改良していこうってことだね。



おっけー!了解しました!



GTO的アジャストについてはここでは深入りしないけど、GTO計算機のNodeLock機能を使う方法や、混合戦略の頻度を調節する方法があるってことだけ言っておこうかな。
詳しくはまた【超上級編】でまとめるよ。
簡易的アジャストの三つのポイント!



さて、ここまではアジャストの定義・種類について解説してきたよ。
最後の章では簡易的アジャストについてもう少し詳しく見ていこうかな。



お願いしまーす。



簡易的アジャストのポイントは三つ。
レンジ・プレイライン・ポジションだよ。



基本的にはこの三つを調節することで、相手のプレイスタイルにアジャストしていくんだね。



レンジはオープンレンジとかコールレンジとかだよね。
でもレンジを調節するって、具体的にどうやるの?



いろんなやり方があるけど、基本はタイトorルースだね。
オープン・コール・3ベットにかかわらず、レンジをタイトにするとショーダウンで勝ちやすくなるんだ。



そうなの?どうして?



レンジをタイトにする=参加するハンドを絞るってことだから、当然勝率の低いハンドから優先的に削られていくよね。



そうすると、タイトなレンジとルースなレンジが戦ったとき、よりショーダウンの勝率が高いのはタイトなほうになるんだ。



なるほど。レンジをルースにするとどうなるの?



レンジをルースにするとショーダウンでの勝率は下がるけど、より多くのフロップでペアやドローを作ることができるよ。



タイトなレンジだとね、ショーダウンまでいけば確かに強いけど、でも参加するハンドが絞られてるから、フロップでペアや強いドローができにくいんだ。



でも、ひとたびペアやドローができてしまえば、ルースなレンジよりもキッカーが強いから、より強いペアやドローを作ることができるんだね。



ふーん、ルースとかタイトって単純に広い・狭いってことかと思ってたけど、そういう違いがあるんだね。



ルースなレンジはその差を利用して、タイトなレンジに対してよりアグレッシブにフロップやターンでベットやレイズができるんだ。



「あなたはタイトだからどうせAハイでしょ。私はルースだからJと8のツーペアができてますよ」なんてね。
もちろんそのボードがどちらのレンジにとって有利かにもよるけどね。



ねえ、ルースとタイト、結局どっちがいいの?



それがまさにアジャストだよ。
ルースすぎる相手にはタイトに、タイトすぎる相手にはルースにプレイするとアジャストしやすい傾向があるよ。



でも、実際にはカジノにはルースなプレイヤーがかなり多いから、タイト寄りでプレイすることになるだろうね。



なーるほどね。
おっけー、じゃあアジャストのポイントの二つ目を教えてくれる?プレイラインってなんなの?



これは複数のアクションをひとまとめにした言い方なんだ。
例えば、フロップでチェックしたあとに相手のベットに対してコールする(チェック・コール)とか、フロップとターンで連続してベットを打つ(ダブルバレル)とかね。



一つのアクションだけに着目するのではなくて、複数のアクションを一連の流れとして見てみようってことなんだ。



うーん、プレイラインを調節って具体的にはどうするの?



例えば、すごく強いハンドでしかベットしないプレイヤーがいたとして、その人のベットに対してはチェック・フォールドかチェック・コールをしたほうが良さそうだよね。



でも、さっきのLAGみたいなブラフベットが異常に多いプレイヤーがベットしてきたなら、チェック・フォールドの頻度を下げてチェック・レイズをすることが多くなりそうだよ。



ふむ、確かにそれはアジャストっぽいね。
じゃあ、三つ目のポジションは?ポジションを調節って、まさかイス取りゲームをするわけにもいかないし・・・。



ポジションは主にIP(インポジション)とOOP(アウトオブポジション)についてだね。
次回また詳しく説明するけど、例えばLAGに対してはIPでプレイすることがとても大事なんだ。



なるほど、じゃあ自分がOOPのときはLAGと戦わないようにしようってことか。



うん、それもあるし、あとはさっきチンアナゴちゃんが言った「イス取りゲーム」、実は正解なんだよ。



え?そうなん?



LAGの左に座ることが大事なんだ。なぜなら、そのほうがLAGに対してIPになりやすいからね。
逆にLAGの右に座っちゃうと、OOPになることが多いよ。これはポーカーテーブルの構造上の問題だね。



ポジションって物理的なポジションのことかい!



うん。誰がどこに座っているかも大事なポイントの一つなんだね。ちょっと面白いでしょ。



さて、レンジ・プレイライン・ポジションのざっくりとした説明は以上だよ。相手のプレイスタイルに合わせてこの三つをうまく調節することでアジャストするんだね。詳しくは次回に説明するよ。



次はポーカー友達を連れてこようかな。ジョーズくんにアジャスト方法を教えてもらうんだ。というわけで今回のまとめだよ。
今回のまとめ
- アジャストとは「相手の戦略に対してより有利な戦略(メタ戦略)を用いること」!
- アジャストには「簡易的アジャスト」と「GTO的アジャスト」の二つのやり方があるんだ
- 簡易的アジャストは精度は高くないけどゲーム全体の方針を教えてくれるよ(マクロ的)
- GTO的アジャストは精度はかなり高いけど一つ一つの状況に限定しないとわからないんだ(ミクロ的)
- 簡易的アジャストのポイントは「レンジ」「プレイライン」「ポジション」の三つ!
- プレイスタイルの分類と具体的なアジャスト方法は次回に紹介するよ



アジャストはその場のひらめきで何とかなるもんじゃないから、事前の準備がとても大事だよ。しっかり予習して実戦に臨もう!
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