前回はコーリングステーションとルースアグレッシブに対するアジャスト方法を紹介したよ。
カジノにはコーリングステーションとルースアグレが本当にたくさんいるよねえ。
そう。だからカジノでは何よりもまず、その二つに対してきちんとアジャストするべきなんだったね。
さて、今回紹介するのはタイトなプレイヤーに対するアジャスト方法だよ。
コーリングステーションや下手なルースアグレを狩りに来てるタイトなプレイヤーを返り討ちにしちゃうんだね。
うん。あるときはコーリングステーションやルースアグレにアジャストして、あるときはタイトなプレイヤーにアジャストするんだ。そうすれば大体のテーブルでは怖いものなしだよ。次の章から解説していくね。
タイトアグレッシブ(TAG)Lv.1に対するアジャスト
さて、まずはタイトアグレッシブ(TAG)に対するアジャストから見ていこうか。
今日もお友達を連れてきたよ!
チンアナゴちゃんは交友関係が広いよね。
おーい!こっちこっち!
おつかれさまです!
はい、おつかれさまです。
同僚のヤドカリくん!営業部のエースだよ。
弊社のチンアナゴがいつもお世話になっております!
ポーカーは会社の付き合いでよくやるみたいだよ。
なるほど。じゃあポーカーについて話を聞いてみようか。
はい、ポーカーは海外のクライアントと仕事をする中で学びました。その経験を生かし、海外出張の際には現地のカジノを訪れ、自分の目と足でマーケットリサーチをしております。
自己分析によると私のプレイスタイルはTAG。タイトなレンジでプリフロップで大きくレイズをし、フロップでCBを打つことにやりがいを感じています。ワンペアでキッカー勝ちしたときがこの仕事を続けててよかったと報われる瞬間ですね。
はい、本日はありがとうございました。お気をつけてお帰りください。
採用!
さて、まずはTAG Lv.1の特徴をまとめてみようか。
- スタッツの例(6max)
VPIP 19%
PFR 16%
AF 2
3bet 3%
CB on Flop 75%
CB on Turn 25% -
プリフロップはタイトなレンジでオープンする
- フロップでのCB率が高い(65%~)
-
ターン以降のCB率が低い(~30%)
-
3ベットレンジが極端に狭い(~4%)
ふむ。プリフロップはレンジを狭くして参加して、フロップでは積極的にベットするけど、ターン以降は諦めちゃうことが多いんだね。
うん。あと、AQ+やQQ+のようなかなり狭いレンジだけでプリフロップの3ベットを打つのも特徴だね。これがTAG Lv.1に対する簡易的なアジャストだよ。
- ターン以降のCB率が低いので、フロップはIP(インポジション)から広いレンジでフロートし、ターン以降でブラフする。あるいはフロップで強いハンドとドローハンドを混ぜてレイズする。
- 3ベットに対してはIPから投機的なハンド(スーテッドコネクタ・ポケットペア)でコールし、フロートやブラフレイズを駆使して戦う。AQのようなドミネイトされやすいハンドはフォールドする。
- TAG Lv.1がブラインドのときは、通常よりも広いレンジでスティールを狙う。
TAG Lv.1の弱点はフロップのCB率が高すぎること、そして逆にターンのCB率が低すぎることだね。そこの弱点を突くためにはフロートやレイズが有効なんだ。
ねえ、何か具体例を出してよ。
OK、こんなのはどうかな。COがTAG Lv.1、BUが自分だよ。
フロップはペアもドローもないのに、コールしてターンで逆襲・・・。これがフロートなんだね。
バックドアのストレート・フラッシュドローがあって、オーバーカード(K)も1枚あるからね。十分フロートできるボードだと思うよ。TAGは77なんてマージナルなハンドでCBを打ったのが悪手だったね。
さて、もう一つ見てみようか。今度は3ベットを打ったBBがTAG Lv.1だよ。
3ベットにスーテッドコネクタでコールするのはまだわかるけど、私ならフロップで降りちゃうなあ。
このCBはコールできるよ。相手の3ベットレンジにはもちろんQQ+のようなオーバーペアも入ってはいるけど、逆に5やフラッシュドローはこちらのレンジに多く入っているんだね。
だから、GSSDのアウツだけじゃなくて、ターン以降で3枚目のダイヤが落ちたり、8や4でOESDになったときは、相手のチェックに対してブラフができるよ。
ひえー。こっちは単なるストレートドローなのに。怖くないの?
怖いのはBBのほうだと思うよ。だって、相手の3ベットレンジには5や99、TTは入っていなくて、フラッシュドローがあるとしたらAKsとAQsのせいぜい2コンボだけ。
でも、こちらのコールレンジにはそういうハンドがまるっと入ってるからね。フロートからのブラフにうってつけのスポットなのさ。
タイトパッシブ(nit)に対するアジャスト
さて、今度はタイトパッシブに対するアジャストを見ていこうか。
タイトパッシブとTAGってどう違うの?
タイトパッシブはTAGと同じくタイトなレンジを持ってるけど、ポストフロップではCBやレイズの頻度が低いのが特徴だよ。辛抱強くチャンスを待って、ナッツを作りにいくタイプなんだ。別名nitともいうね。
タイトに固くプレイするんだね。うってつけのプレイヤーを呼んできたよ!
じゃあ、次の方どうぞ。
失礼しますぞ。
どうぞ。はじめまして。
亀じいだよ。ご近所さんで、地元のご意見番なんだ。
見ないうちに大きくなったなあ。中学生かえ?
もう社会人だってば。
じゃあ、ポーカーについて話を聞いてみようか。
この100年間、色々なプレイヤーを見てきたが、コーリングステーションが勝つ道理はない。きゃつらを狩るためにはひたすらナッツを待ち、ここぞと決めたところでオールインするのじゃ。ポーカーは忍耐のゲームなんじゃよ。あまりにもハンドが来ないときは頭に血が上ってJ9sで5ベットを打つこともあるがの。ふぉっふぉっふぉ。
感じの良いおじいさんだね。
若い頃は相当やんちゃしてたみたいだよ。
さて、まずはnitの特徴をまとめてみようか。
- スタッツの例(6max)
VPIP 12%
PFR 10%
AF 1.5
3bet 3%
CB on Flop 55%
CB on Turn 25% -
プリフロップはかなりタイトなレンジでオープンする
- フロップでのCB率は適正かやや低い(50%前後)
-
ターン以降のCB率が低い(~30%)
-
3ベットレンジが極端に狭い(~4%)
- ナッツ級のハンドでしかショーダウンまでいかない
- ナッツ級のハンドでオーバーベットする
ふむ、確かにTAGのヤドカリくんよりもCB率が低くてパッシブなんだね。
これがnitに対する簡易的なアジャストだよ。
- プリフロップは頻繁にスティールを仕掛ける
- ポストフロップはフロートとダブルバレルを駆使してノンショーダウンポットを取りにいく
→TAG Lv.1と比べてCB率が低いので、nitのフロップCBはマージナルなハンドが少ない=ターン以降でフォールドさせにくい
→そのため、nitに対するフロートはTAG Lv.1と比べて頻度を下げたほうが良い - nitのターンやリバーのオーバーベットに対しては、ワンペアなどのマージナルなハンドはすべてフォールドする
基本的にはTAG LV.1と同じアジャスト方針だよ。つまり、タイトなプレイヤーはショーダウンまでいったときに勝率は高いけど、フロップで強い役(ツーペア+)を作る頻度は低いんだね。そこをうまく突いてブラフでポットをかすめ取ろうという作戦さ。
ふむふむ。nitはナッツ級を持たずにショーダウンすることを嫌がるから、ブラフに弱いんだね。
でも、TAG Lv.1と比べてnitはベットやレイズをする頻度が低いから、そこだけは注意が必要だよ。TAG Lv.1のようにマージナルなハンドでCBは打ってきてないから、そこまで頻繁にフロートやレイズをするべきではないかもね。特にターンやリバーのnitのベットはかなりバリュー寄りだろうから、おとなしくフォールドすべきスポットがほとんどだと思うよ。
ねえ、何か具体例が欲しいな。
OK、まずはこれを見てごらん。A9sを持ってるBBがnitだよ。
66を持ってるBUはCBを打っても打たなくてもいいけど、今回は相手がnitでブラフに弱く、66より強いハンド(TT、9ペア、88、77など)をターン以降にフォールドさせられると思ったんだ。それで今回はCBを選択したよ。
ターンで3枚目のハートが落ちたんだね。そこでまたベットするの?
うん。ターンのKはBBがハートのフラッシュドローでない限り、BU側が有利なカードだよ。なぜなら、フロップのCBにnitがコールするKハイなんて、K9sがあるかないかぐらいだからね。でも、BUの僕はKQ、KJ、KTなんかのKハイでフロップCBを打つよ。もちろんブラフでね。
ということは、ターンのKというカードはBUの僕に絡んでそうなカードなのさ。
なるほど、そういう読みがあるんだね。
それにターンで僕はフラッシュドローを手に入れたよ。万一BBがトップペアやツーペアを持っていたとしても、4枚目のハートで逆転できる目ができたからね。
こういうふうに、相手にとっては嫌なカードで、なおかつ自分にとってうれしいカードが落ちたときは、ブラフのダブルバレルを打ちやすい状況だよ。特にナッツを持たずにショーダウンまでいくことを嫌うnitにはたまらないだろうね。
もう一つ見てみようか。QQを持ってるUTGがnitだよ。
プリフロップはAJsで単にコールしたよ。nitのオーブンレンジは狭く、しかもUTGからのオープンだからかなり強いハンドを持ってそうだね。AJはドミネイトされる可能性もあるけど、スーテッドがついてるし、IPが取れるから今回はコールに回したよ。
nitのフロップ、ターンのダブルバレルは今回はコールに回してるね。もっとアグレッシブなプレイヤーがベットしてきてるなら、フロップでレイズするのも有効だと思うよ。
パッシブなnitがベットしてきてるんだから、かなりバリュー寄りのベットだと読んでるわけね。
うん。リバーでナッツフラッシュを引いたね。当然バリューベットしたけど、ここでのバリューターゲットはほぼAA、KK、Qのペアだね。nitはAKやJJでダブルバレルを打たないだろうし、A8なんかもオフスートはオープンレンジに入っていないと考えてるよ。
でも、チェックレイズオールインが返ってきましたと。
うん。一見難しい状況だけど、僕はnitのオールインにはイージーフォールドだと思うな。QQ、TT、88なんかを持ってそうだよ。
相手もフラッシュって可能性は?
A、Q、Jが既に見えているからね。超タイトなUTGがオープンしてることを考えると、KTぐらいしか思いつかないよ。65みたいなハンドでUTGからオープンするプレイヤーなら少し話が変わってくるけどね。
これ以外のプレイスタイルは?
A、Q、Jが既に見えているからね。超タイトなUTGがオープンしてることを考えると、KTぐらいしか思いつかないよ。65みたいなハンドでUTGからオープンするプレイヤーなら少し話が変わってくるけどね。
この四つを押さえておけば、カジノの8割がたのプレイヤーはカバーできてるんじゃないかな。微妙なスタッツの差や複合型はあるけどね。
ねえ、その四つ以外のプレイスタイルっていないの?
もちろんあるよ。CB率が適正で、ブラフとバリューを織り交ぜて3ベットをする上手いTAG Lv2、相手を見極めて適切なスポットでアグレッシブにプレイするLAG Lv.2なんかだね。
ふーん。その人たちに対するアジャストは?
Lv.2たちにアジャストするのは簡単ではないよ。彼らに対する簡易的なアジャストはないんだ。
「これさえやっておけば簡単にアジャストできる!」っていう方法はないんだね。じゃあどうすればいいの?
もっと細かいスポットで弱点を見つけて、個別に対応するしかないね。例えば、ドローが多いボードでブラフキャッチしすぎるとか、プリフロップで3ベットを打たれたときにうまく対応できていないとかね。
こういう弱点を突くためには個々のスポットでのGTOを計算してみて、相手がそのGTOからどれだけズレてるかを知るのが大事なんだ。
出た!GTO!
例えば、この状況で相手の3ベットにポケットペアをフォールドするのはGTOに反しているだとか、AQoで3ベットにOOPからコールするのはGTOに反しているだとかね。
そしてそのGTOに反しているプレイはアジャスト可能ってことなんだ。
ふーん。それがpart1で言ってたGTO的アジャストってことか。
そういうことだね。でも、もしカジノの低レートで勝ち越したいなら、簡易的なアジャストだけで僕は十分だと考えてるよ。あとはバンクロールを十分多く持って行ったり、ティルトしないようにすることが大事かな。
ということで今日のまとめッ!
今日のまとめ
- タイトなプレイヤーにアジャストして、テーブルを支配する神になろう!
- タイトアグレッシブLv.1の特徴と簡易的なアジャスト方法を紹介したよ
- タイトパッシブの特徴と簡易的なアジャスト方法を紹介したよ
簡易的なアジャストはあくまでもプレイ全体の方針だよ。個々のスポットでの細かいアジャストはGTOをうまく使って考えよう。
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