今回のテーマは「らくらくコース」!
難しかったけど、ためになったよ。今回のは楽ちんなんでしょ?
今回のテーマは「らくらくコース」、これも「じっくりコース」と同じで、相手のレンジのランキング表を作って、自分のハンドの強さを測る方法だよ。次の章から詳しく解説していくね。
楽ちんなんだよね?よーし、楽して勝つぞ〜!
Step1:「らくらくコース」とボードテクスチャー
さて、part1でも少し触れたけど、「らくらくコース」はボードテクスチャーに注目してハンドの強さを測る方法なんだ。ここで言うボードテクスチャーっていうのは特に「フラッシュやストレートがどのくらいありそうか」を指すよ。
ふーむ。具体的に教えて?
例えば、フロップでのペアの強さを考えてみようか。じゃあ、チンアナゴちゃんはAAを持っているとするね。
お、やった!最強のハンドだ!
残念ながらフロップでAは落ちず、AAはセットにならなかったけれど、ワンペアの中では最強のものを持っていますよと。
ふんふん。
フロップ(1):8h7h6d
フロップ(2):Qh7s2d
さあ、どちらのフロップがめくれて欲しい?
え、プリフロップのアクションとかポジションとか関係なく?
プリフロップは何でもいいよ。単純にAAにとってうれしいボードは(1)と(2)、どちらかな?
うーん・・・何か(1)はターンで9とかハートとかが落ちたらイヤな感じだなあ。(2)のほうがターンで落ちて困るカードが少ない気がする。
だよね。(1)のボードを見ると、T9や54が既にストレートになってて、ツーペアも(2)と比べていかにもありそうな感じだよね。
どちらのボードでもAAは最強のワンペアなんだけど、(1)よりも(2)のほうがより勝てそうな感じがするでしょ?
するする!
フロップ(1)とフロップ(2)を比べてみると、(1)はストレートやフラッシュができる可能性が高いよね。そもそもT9と54はストレートが完成してるし、98や65はオープンエンド・ストレートドローになってるね。フラッシュもハートが2枚でドローになってるよ。
あ、これがボードテクスチャー?
うん。こういうストレートやフラッシュの可能性が多そうなボードを「ウェット(wet)なボード」っていうんだ。カード同士のランク(数字の大きさ)が近かったり、同じスートがたくさんあるほど、そのボードはウェットになっていくってわけさ。
ランクとかスートがお互いに近いから、「濡れている(wet)=くっつく」みたいなイメージなんかな。
そういうことなんだろうね。
覚えておいてほしいのはね、こういうウェットなボードではペアの価値が下がるってことなんだ。
価値が?どういうこと?
つまりね、ワンペアはターン・リバーとストリートが進んでも、せいぜいツーペアやトリップスになるのが関の山だけど、ウェットなボードはより強いストレートやフラッシュを作れちゃう可能性があるんだ。しかもアウツも多いからね。
だから、ボードがウェットになればなるほど、ワンペアはドロー系に負けやすいってわけさ。
そっか、相手にストレートやフラッシュを作られたら、ワンペアはほとんど逆転できないもんなあ。
さらに言えば、ツーペアも(1)のほうがありそうだよね。Q7、Q2、72で参加する人はあまりいないけど、87、76、86はいてもおかしくないよ。カードのランクが近いウェットほどツーペアの可能性も高くなるから、やっぱりワンペアはウェットなボードでは弱くなるんだね。
うーむ、じゃあペア系はウェットじゃない(2)のほうがいいのか。
そうなんだ。フロップ(2)みたいなカード同士のランクやスートがばらばらのボードを「ドライ(dry)なボード」っていうよ。
ふむふむ、ウェットとドライか。わかりやすいね。
strong>ペア系(ワンペア、ツーペア、トリップス、セット)はウェットなボードでは価値が下がって、ドライなボードでは価値が上がるんだ。
反対に、ストレート・フラッシュのドローはウェットなボードでは価値が上がって、ドライなボードでは価値が下がるんだね。今回の大事なポイントだよ。
最強のAAといえども、フロップごとに強くなったり弱くなったりするんだなあ。
そうなんだよ。part1から繰り返し言ってるけど、ポーカーではハンドの強さが状況によって変化するんだね。だからフロップが変わればAAの強さも変わるんだ。でも、その強さはランダムに変わるわけじゃなくて、ちゃんと法則性があるんだね。それがこのウェットとドライってわけさ。
ところでジョーズくん、さっきのフロップで私のAAってどのくらい勝率があるの?
もちろん相手のレンジによるよ。じゃあ、今回はチンアナゴちゃんがCOからAAでオープン、BUがコールしてヘッズアップになったとしようか。
BUはどんなレンジでコールしたの?
仮にだけど、BUのコールレンジはこうしようかな。
お、レンジ編でやったジョーズくんのコールレンジだね。
うん。スーテッドやコネクタなんかの投機的なハンドがたくさん入ってるね。じゃあ、このコールレンジとチンアナゴちゃんのAAの勝率を計算してみようか。
フロップ(1):876
これがフロップ(1)でのAAとBUのレンジ全体の勝率だよ。図の上側がBUのレンジ全体、Equityっていうのが勝率だよ。
AAなのに60%しかないんだ・・・。
でも、さすがはAAだよ。こんな超ウェットなボードでもワンペアで60%も勝てるんだからね。ほら、フロップ(2)での勝率を見てごらんよ。
フロップ(2):Q72
85%!?最強じゃん!
めちゃくちゃ強いよね。ウェットなボードとドライなボードでどのくらい勝率に差があるか、よくわかるでしょ?
おみそれいたしました!
この章では、ペア・ドローはボードテクスチャーによって強さが変化するという話をしたよ。次の章ではいよいよ「らくらくコース」のメインパート、ボードテクスチャーを使ったランキング表を見ていくね。
Step2:「らくらくコース」のランキング表を見てみよう!
さて、さっそく「らくらくコース」のランキング表を見てみようか。
お、いきなり?
うん。まずは見てもらったほうが早いかな。
これがさっきのフロップ(1)、超ウェットなボードでのランキング表だよ。
右に行くほど役が強くなって、中心の太い線はちょうど真ん中の強さだよ。
四角の中に書いてあるハンドはその役の具体例。
黄色い吹き出しはちょうど真ん中の強さのハンド(A8)と、ワンペアの中で一番強いハンド(AA)だね。
ふーむ、超ウェットなだけあってドローやツーペアが多いね。ワンペアたちが押されちゃってるよ。
・・・あれ?ジョーズくん、これって相手のレンジのランキング表なんだよね?どんなレンジなの?
これはね、あえて広いレンジを想定してるんだ。特にスーテッド、コネクタ、ポケットペアなんかの投機的なハンドがたくさん入ったレンジだよ。
例えばコールレンジとか、あるいはレイトポジションのオープンレンジだろうね。
ふーん。どうして広いレンジにしたの?
相手は投機的ハンドがマシマシの広いレンジ、そしてボードは超ウェット。そんな状況で自分のワンペアは一体どのくらいの強さなのか、それを確認して欲しかったんだ。
見てごらん、ワンペア界最強のAAはせいぜい真ん中より少し上の強さだよ。TPTK(トップペア・トップキッカー)のA8はちょうど真ん中ぐらいなんだね。
このことを覚えておけば、そこからいろんなことがわかるんだよ。例えばチンアナゴちゃんがA7を持っていたら、どのくらいの強さになりそうかな?
えっと、ど真ん中がTPTKのA8なんだから、それより弱いA7は真ん中よりも下なんだろうな。でも、ハイカードとかドロー系よりも強いはずだから・・・うーん、下から40%ぐらいの位置?
うん、大体そのぐらいだろうね。ってことは、A7はこの状況ではベットしないほうがいいとわかるんだ。
あ、そっか。A7は真ん中よりも下の強さだから、自分より強いハンドが多そうだもんね。
うん、自分よりも弱いハンドが少ないから、バリューベットが成功しにくいんだね。A7より弱いドロー系のハンドにはバリューベットできるけど、セミブラフでレイズを返されるともう無理だよ。
もちろんブラフベットも成功しそうにないよ。A7より強いけどフォールドしてくれるハンドって、あんまりないよね。A8ですら1回のベットでフォールドさせるのは難しいと思うよ。
なるほど〜。こういうふうに応用するんだね。
「超ウェット+広いレンジ」=「TPTKが真ん中の強さ」「最強のワンペア(AA)は60%の勝率」なんだ。
これさえ覚えておけば、それを参考にしていろんな判断ができるのさ。これが「らくらくコース」のランキング表の使い方だよ。
ねえねえ、ほかに応用例はないの?
じゃあ、今度は相手のレンジを変えてみようか。
例えば、相手がタイトなオープンレンジだとするね。そうするとT9とか87はほとんどレンジに入らないから、今度はストレート、ツーペア、コンボドローなんかがゴッソリ消えて、そのぶんワンペアたちが繰り上げ当選するよ。
そうすると、TPTKのA8は真ん中より上の強さになるから、自信を持ってベットやコールができそうだよね。
なーるほど。今度は「超ウェット+狭いレンジ」だから、TPTKが真ん中よりも強くなるわけね。
じゃあ、ほかのフロップもボードテクスチャーごとに見ていこうか。
これは「超」ではないけどウェットなボードのランキング表だよ。
超ウェットと比べてストレートがなくなってるね。ドローとかツーペアもちょっとだけ減ったのかな。そのぶんワンペアたちは強くなってるみたい。
そうだね。「ウェット+広いレンジ」=「キッカーの強いセカンドペアが真ん中の強さ」「最強のワンペアは約70%の勝率」だよ。
そしてこれが「超」ではないけどドライなボードのランキング表。
お、ずいぶんスッキリしたね。そしてワンペアがめっちゃ強くなってる!
うん、「ドライ+広いレンジ」=「まあまあのキッカーのセカンドペアが真ん中の強さ」「最強のワンペアは約80%の勝率」なんだ。
そして最後にさっきのフロップ(2)、超ドライなボードのランキング表だね。
ワンペア強ッッ!!!もはやセット・ワンペア・ハイカードしかいない!
あ、そっか、Q72にはドローがないし、ツーペアもいなさそうだから当たり前か。プリフロップでQ2とか72で参加する人がいたら病気だもんね。
超ドライなボードにはTPTK(AQ)も吹き出しで入れてみたよ。
「超ドライ+広いレンジ」=「ボトムペア以上セカンドペア未満が真ん中の強さ」「最強のワンペアは約90%の勝率」なんだね。
いやー、ウェットからドライになるとガラッと変わるもんなんですなあ。
さて、以上が「らくらくコース」のランキング表だよ。
「ウェットなほどペアは弱くドローは強い」「このボードでの真ん中の強さのハンドは何か」、こういうヒントをもとに自分のハンドの強さをざっくりと測るんだね。
そしていくつかのパターンを覚えてもらうため、ボードテクスチャーごとに場合分けをして、ビジュアル的にランキング表を見てもらったんだ。
うーむ、「じっくりコース」と「らくらくコース」か。どっちもランキング表を作って自分のハンドの強さを測る方法なんだよね?
そのとおりだよ。精度と手間がトレードオフになってるところが違いだね。
ぶっちゃけ、どっちを使ったほうがいいの?
じゃあ、「じっくりコース」と「らくらくコース」の使い分けについて話そうかな。詳しくは次の章で!
おっけー!よろしくね。
「じっくり」と「らくらく」、どちらを使うべき?
さて、「じっくりコース」と「らくらくコース」の使い分けだけど、実はそんなに難しく考えなくていいんだ。
まずは「らくらくコース」でざっくり強さを測ってみて、それで正しいアクションができそうならそれでよし。もっと詳しく知りたければ「じっくりコース」で熟考するってわけさ。
もっと具体的に知りたいなあ。なんか例を出してよ。
OK。まずは「らくらくコース」で十分な場合を考えてみようか。
part1で「じっくりコース」を使って解説したハンドを覚えてるかな?
チンアナゴちゃんがUTGからAQでオープンして、BBが広いレンジでコール。ヘッズアップでフロップはA35ですと。
あ、覚えてる覚えてる。
じゃあ、この状況を「らくらくコース」で考えると?
うーん、まずはボードテクスチャーを見るんだよね。超ウェットでも超ドライでもないなあ。これはどっちなの?
これはややドライぐらいかな。フラッシュドローはあるにはあるけど、レンジに入りやすいAハイのフラッシュドローがないし、オープンエンド・ストレートドローは64sだけだからね。
えっと、さっきの話だと、「ドライなボード+広いレンジ」で最強のワンペアは80%の勝率があるんだよね。で、このボードはややドライなんだから、最強のワンペアはまあ、70%ぐらいの勝率なんじゃない?わかんないけど。
うん、まあそんなとこだろうね。
で、このボードの最強のワンペアはAKなんだけど・・・あ、BBはプリフロップで3ベットせずにコールしてるから、AKはあまり持ってなさそうかも。じゃあ、私のAQは最強のワンペアで、70%の勝率があるのでは?
おお、アドリブでレンジのヒントを入れてくるあたり、ポストフロップの考え方に慣れてきてるね。
ふふ。カジノの借りを返すために、私も成長してるんだよ。
実際、part1で「じっくりコース」のランキング表を作ったときも、チンアナゴちゃんのAQは大体70〜80%ぐらいの勝率だったよね。
お、ほんとだ。「じっくり」と「らくらく」が一致してるね。
厳密には10%ぐらいズレてるかもしれないけど、細かいことはどうでもいいよね。だって、結局知りたいのは「AQが真ん中よりも強いハンドかどうか」なんだから。
それさえわかれば、バリューベットが正しいアクションだとすぐに判断できるんだ。
ふむ、「らくらくコース」ではAQの強さは真ん中よりずっと上だな、じゃあとりあえずバリューベット打っとくか、ってノリなんだね。
うん、それで問題ないよ。相手がフォールドしたらそこでポットを取って終了だしね。
ねえ、「じっくりコース」を使わないとヤバいときも教えてよ。
さっきのAQでバリューベットを打って、相手からバカでかいレイズが返ってきたときだよ。
あ、それはヤバそう・・・。
うん。レイズが返ってきたら、チンアナゴちゃんは自分のAQの強さを測り直さないといけないんだ。
相手は33のセットかもしれないし、54のコンボドローかもしれない。もしかすると、44でレイズするクレイジーなプレイヤーかもしれないよ。
そのときに大事なのはボードテクスチャーというよりもレンジのヒント(ポジション・アクション・プレイスタイル)なんだ。相手がレイズしてくるレンジを推理して、自分のAQの勝率を再評価するのさ。
はあ〜、なるほど。「じっくりコース」と「らくらくコース」の違いがよくわかったよ。でも、やっぱりポストフロップのアクションって難しいね。
うん。ポストフロップのアクションはポーカーで最も実力差が出るところだからね。
じゃあ、次回はいよいよポストフロップのアクションについて解説しようかな。
part1、2、3のテーマは「ハンドの強さを測る方法」だったけど、次回のテーマは「ハンドの強さをもとに正しいアクションをする方法」だよ。
おっけー、次回もよろしくね!
最後まで読んでくれてありがとう。じゃあ、今日のまとめだよ。
今日のまとめ
- ウェットなボードではペア系が弱く、ドロー系が強くなるよ
- ドライなボードではペア系が強く、ドロー系が弱くなるよ
- 「らくらくコース」はボードテクスチャーからハンドの強さを測る方法!パターンを覚えてしまおう!
・超ウェット+広いレンジ=TPTKが真ん中の強さ、最強のワンペア(AA)は60%の勝率
・ウェット+広いレンジ=キッカーの強いセカンドペアが真ん中の強さ、最強のワンペアは約70%の勝率
・ドライ+広いレンジ=まあまあのキッカーのセカンドペアが真ん中の強さ、最強のワンペアは約80%の勝率
・超ドライ+広いレンジ=ボトムペア以上セカンドペア未満が真ん中の強さ、最強のワンペアは約90%の勝率 - まずは「らくらくコース」でざっくりハンドの強さを測ろう!判断できない難しい場面は「じっくりコース」で!
次回はポストフロップ編の最終回だよ。お楽しみに!
コメント
コメント一覧 (2件)
初めてコメントさせていただきます。
ポーカーはじめて半年ほどの初心者ですが、
このサイトを見てから格段に上達したと思います。
本当にありがとうございます。
これからも更新楽しみにしております。
少し前にこちらのサイトを見つけまして、とても読みやすいのですぐに最新の記事まで追い付けました。
今後の更新も期待しています。