ポーカー用語はこちらを見てね。
コールレンジを決めるポイントは?
前回のテーマはプリフロップのオープンレンジについてだったね。
今回は自分より前にレイズが入っているとき、どんなハンドでコールをするべきかを説明するよ。コールレンジを決めるポイントは次の三つだよ。
- オープンしている相手のレンジを考えよう
- 相手のレンジにドミネイトされやすいハンドはコールできない
- 強い役(セット、ストレート、フラッシュ)を作りやすいハンドでコールしよう
ふーん。オープンレンジの基準とだいぶ違うんだね。
そのとおり。なぜなら、オープンレンジと同じようなハンドでコールすると、ショーダウンで負けやすいからね。
そうなの?どうして?
前回のオープンレンジの一覧を思い出してごらんよ。アーリーポジションほどレンジが狭くて、レイトポジションほどレンジが広いでしょ。
うん。BUはめちゃめちゃ広かったけど、UTGなんかTT+とAKだけだったね。
プリフロップで自分よりも前にレイズが入ってるってことは、そのプレイヤーのオープンレンジは自分のオープンレンジよりも狭いはずなんだ。
相手のポジションはアーリーで、自分のほうがレイトだからってこと?
そうそう。ということは、相手のオープンレンジには強いハンドがより多く入ってるし、自分のオープンレンジは弱いハンドがより多く入ってるよね。
だから、オープンレンジの基準でコールしちゃうと、ショーダウンで負けやすいんだよ。
そっか、おんなじAでもUTGがオープンするのはAKだけど、もしBUだったらA7とかの弱いAもオープンレンジに入ってるもんね。
AK vs A7でボードにAが落ちたら悲惨だよ。相手はAのペアにキッカーがKだからどんどんベットできるけど、チンアナゴちゃんのAはキッカーが弱いからショーダウンで負け。
でも、A7はAのペアがなかなか降りられないから、被害がどんどん大きくなっちゃうよね。
うわー、それは最悪。
こういうAKとA7みたいな「ペアになってもキッカーで負けちゃう状態」が「ドミネイト」だね。
だから、コールレンジはドミネイトされないようなハンドを選ぶのが鉄則だよ。
でもさ、UTGがJJとかQQとかを持ってて、ボードにAが落ちてA7が勝つこともあるんじゃない?
もちろんあるよ。でも、それを含めて考えてもやっぱりA7の勝率は低いんだ。下の画像はUTGのハンドレンジ全体とA7oの勝率だよ。
に、26%・・・。
これがドミネイトの恐ろしさだね。ちなみにAQやAJでも数%しか勝率は上がらないよ。
意外かもしれないけど、A7やAJよりも、98sや66のほうがコールしやすいよ。
え?Aより弱そうなハンドでいいの?
うん。僕のおすすめはスーテッドコネクタとポケットペアだね。これらのハンドがコールに適している理由は二つあって、一つはドミネイトされにくいハンドだからだよ。
さっきのUTGのオープンレンジを見てみなよ。AK、AA、KKはレンジに入ってるけど、A9とかJ9は入ってないでしょ?
うん。だって、A9とかJ9でUTGからオープンしてたら損だもんね。
そうそう。例えばUTGのオープンを98でコールして、フロップがT99なら、UTGからチップを稼ぐ大チャンスだよ。なぜなら、UTGのオープンレンジに9は入っていないから、A9とかJ9にドミネイトされる心配がないんだ。
こっちは9のトリップスができてるんだね。でも、相手はUTGだから9を持ってることはないと。
うん。UTGがTTを持ってフルハウスができているときは不運としか言いようがないけど、それよりもAA、KK、QQ、JJ、AKを持ってることのほうがずっと多いから、気にせずバリューを取りにいけばいいよ。
なるほどねー。Aよりも9のほうがUTGにドミネイトされにくいんだね。
ほかにも、こんなケースはどうかな。UTGのオープンを66でコールして、フロップがK64でした。
あ、6のセットができてるね。
うん。現状で自分の66より強いのはKKだけで、相手がAA、AKを持ってたらたくさんチップを吐き出してくれそうだね。KKを持ってる確率はかなり低いから、これも気にせずバリュー、バリューでいこう。
バリュー、バリュー!
・・・ところで、スーテッドコネクタとかポケットペアって実際のところ、勝率はどうなってるの?
お、鋭いね。例えばUTGのオープンレンジと66の勝率はこうなってるよ。
Hey!結局勝率低いんじゃん!さっきのA7oよりはマシだけどさ。
大丈夫、安心して。これはショーダウンまでいったときの勝率だけど、66は負けてるときにショーダウンまでいくことはないから問題ないんだ。
うん?どういうこと?
つまりね、フロップで6が落ちてセットができればベットやレイズでポットを大きくしてからショーダウンして、66がセットにならなければフロップでフォールドすればいいんだよ。そうすれば勝ったときの利益は大きく、負けたときの被害は小さくなるでしょ。
この画像のUTG vs 66の勝率は、66がセットにならなかったときもショーダウンまで行ってるから、それで低い勝率が出てるだけなんだ。
勝ってるときにベットとかレイズして、負けてるときにフォールド?・・・別にそれは66以外のハンドでもできるんじゃない?
いや、そういう勝ち負けの判断ができないハンドもあるんだよ。
例えばさっきのAK vs A7だと、フロップでAが落ちたときに、A7は自分が勝ってるか負けてるかよくわからないんだよ。相手がAKやAAならボロ負けだけど、KKやQQならAのワンペアで勝ってるし・・・みたいなね。
あ、そういえばそうだね。
そうでしょ。だから、強い役を作りやすいハンド=勝ち負けがはっきりわかるハンドでコールして、フロップで強い役or強いドローができたときだけショーダウンに向かえばいいんだよ。
それがスーテッドコネクタとかポケットペアをおすすめする理由の二つ目だよ。
そっか。ドミネイトされる心配がなくて、しかもフロップで勝ち負けがはっきりわかるハンドがコールしやすいってことね。
そう!その二つの条件を満たすのがスーテッドコネクタやポケットペアなんだ。こういう強い役を作りやすいハンドを「投機的ハンド」と言ったりもするよ。
「とうきてき」って?
「なかなか当たらないけど、当たればデカイ」って意味だよ。
当たればデカイ・・・か。その言葉好きかも。OK、理解したよ!
じゃあ、ここまでのまとめを書いておくね。
- 相手のオープンレンジにドミネイトされるハンドは危険!
- 当たるとデカイ!投機的ハンドでコールしよう
- 投機的ハンドはドミネイトされにくい&勝ち負けの判断がしやすい→フロップで戦いやすい!
- おすすめの投機的ハンドはスーテッドコネクタとポケットペアだよ
プリフロップのコールレンジ一覧
じゃあ、具体的なコールレンジ表を紹介していこうか。相手のレンジの広さに応じて、三つのコールレンジを使い分けるよ。
一つ目は「vsタイト」、つまりUTGとUTG+1がオープンしてきたときのコールレンジだよ。
あと、オープンしてるプレイヤーのタイプも重要だよ。もし、相手がすごくタイトなレンジでプレイしてると思ったら、彼のポジションがMPでもこのコールレンジで戦ったほうが無難かもね。
そっか、相手のプレイスタイルによってもオープンレンジは変わってくるもんね。ところで、AAとかKKが抜けてるのはどうしてなの?
これはコールせずに3ベット(リレイズ)すべきハンドだからだよ。AA、KK、QQなんかはとても強いから、コールするよりも相手のオープンにさらにレイズするほうがいろいろ得なんだ。
ふーん。どうして3ベットが得なの?
それは次回に説明しようかな。思いのほかコールレンジの説明が長くなっちゃったからね。
ほいほーい。
さて、2番目はMP1、MP2、HJがオープンしてきたときにコールするレンジだよ。
これも相手が普通よりもルースだったりしたら変わってくるの?
うん。この人は結構ルースなオープンレンジだなと思ったなら、そのプレイヤーのUTG+1のオープンも普通よりもルースだろうから、このvsMP,HJのレンジ表でコールしてもいいかもね。
OK、とにかくポジションとプレイスタイルから相手のレンジを考えればいいのね。
3番目はCOやBUがオープンしてきたときにコールするレンジだよ。あと、マルチウェイのときもこのレンジがおすすめだよ。
うん?マルチウェイって?
「マルチウェイ」っていうのは「多人数」って意味だよ。例えばUTGのオープンに自分を含めて2人がコールすれば、3人戦になるよね。そのときはvsタイトのコールレンジじゃなくて、このvsルースのコールレンジを使ってほしいんだ。
多人数だとコールレンジが広がるの?どうして?
さっきの章で説明したとおり、コールレンジに入るハンドは投機的ハンドがほとんどなんだ。
「なかなか当たらないけど、当たればデカイ」ね。
そう。でもなかなか当たらないんだな、これが。だからこそ、セットやフラッシュが当たったときにたくさんプレイヤーがいたほうが、より多くのチップを稼げるでしょ。しかもセットやフラッシュは勝ってるか負けてるかを判断しやすいから、多人数戦でも怖くないんだ。
これがAのワンペアみたいなハンドだったら、誰か一人でもツーペアがいると負けだからね。
なるほどねー。投機的ハンドは多人数戦のほうがうれしいってことか。
そうそう。だからマルチウェイはより多くの投機的ハンドで参加すべきなので、一番広いコールレンジを採用してるよ。
あれ!?ジョーズくん、あれだけドミネイト、ダメ絶対って言っておきながらA5sとかの弱いAが入ってるよ?
うん。2番目と3番目には入ってるね。これはフラッシュ、ストレート、ツーペア、トリップスを狙った投機的ハンドで、Aのワンペアはまあ勝てたらラッキーぐらいのものなんだ。さっきの章で説明したのはvsUTGだったけど、これがvsMP2とかvsCOだったら、キッカーの弱いスーテッドAもコールできるよ。
ドミネイトは大丈夫なの?
もちろんドミネイトされることもあるけど、COとかの広いオープンレンジにはK、Q、Jハイ、弱いポケットペアなんかがたくさん入ってるから、Aがドミネイトされてる可能性がUTGのときと比べてグッと低くなってるんだ。
うーん、でもやっぱりドミネイト怖いなあ。
確かに、キッカーの弱いAのワンペアでポストフロップを戦うのは経験と戦略が必要だね。Aのワンペアだけで相手のベットに何度もコールするのは簡単ではないからね。
相手のプレイスタイルやベットサイズを観察して、できるだけ出費を抑えてショーダウンを狙ったり、場合によってはターンやリバーでフォールドすることになるよ。
自信ないかも。
ポストフロップに自信がなければ、ひとまずはA6s〜A9sはレンジから除外してもいいかもね。
A2s〜A5sは除外しちゃだめなの?
A2s〜A5sやATsなんかはストレートがあるからね。A6s〜A9sよりもきっと戦いやすいはずだよ。
ドミネイトされやすくて投機的でもない雑魚ハンドはA6o〜A9oなんかだね。スーテッドになるとフラッシュがあるからちょっとマシになって、A2s〜A5sとかはさらにストレートもつくからだいぶマシになるイメージだよ。
おっけー、じゃあひとまず私はA6s〜A9sはフォールドしようかなあ。
相手のスタックサイズが小さいときは要注意!
最後に、オープンにコールするときの注意点をもう一つ話しておくよ。とても大事なことなんだ。
なになに?
相手のスタック(持ってるチップ)が小さいときは、コールレンジに入ってるハンドでもコールしないほうがいいんだ。
うん?どうして?
繰り返しになるけど、コールレンジはほとんどが投機的ハンドだから、当たったときに大きなチップを奪えないと意味がないんだよ。例えば、ポケットペアがフロップでセットになる確率は約11%なんだ。
11%ってことは、大体9回に1回セットができるんだね。
うん。3bbのオープンにポケットペアで何度もコールして、ようやく9回目にセットができた!と思ったら、相手が10bbしか持ってなかったら、結局損だよね。
えーっと、3bbを9回払ってるから出費は27bbで、9回目にようやく取れたポットが10bb・・・うん。大赤字だね。
そうなんだ。だから、ポケットペアをコールするためには、プリフロップのコール額の最低でも9倍以上のスタックサイズを相手が持ってないといけないんだ。
じゃあ、オープンしてきたプレイヤーのスタックがすごく小さいときに、66とかを持ってたらどうすればいいの?
フォールドするのが正解だろうね。66じゃなくてもっと強いTTとかだったら、3ベットしてオールインを要求するときもあるけどね。
そっかー。ところでスーテッドコネクタはどうなの?
スーテッドコネクタはフロップよりもターンやリバーで強い役になりやすいから、フロップで勝ち負けが判断できるポケットペアよりも、さらに多くの出費が必要だよね。だから、コール額の20倍以上のスタックサイズを相手が持ってたらコールできるよ。
20倍・・・。
まあまあ、3bbのオープンなら相手が標準的な60〜100bbを持っていればコールできるし、マルチウェイになれば多少は相手のスタックが小さくてもコールできるからね。
マルチウェイと投機的ハンドはやっぱり相性がいいんだね。
そういうこと!じゃあ、今日のまとめに入ろうか。今日はコールするorしないのフローチャートを書いてみたよ。
今日のまとめ
- 相手のポジション・プレイスタイルから、相手のオープンレンジを考える
- 相手のオープンレンジに応じて、三つのコールレンジ表から一つを選ぶ
- そのレンジ表に自分のハンドが入ってるならコール!
- ちょっと待って!相手のスタックが小さいときはフォールドしよう
次回はプリフロップで3ベットするハンドレンジについて説明するよ。
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