そもそもコールとリレイズのメリットって何?

さて、今回はプリフロップでリレイズ(3ベット)をするレンジについて説明するよ



相手がオープンに対してさらにレイズするのがリレイズだよね。でも、どうしてコールじゃだめなの?



コールに留めたほうがいいハンドもあれば、リレイズのほうが明らかに得なハンドもあるんだよ。コール、リレイズのそれぞれのメリットはこんな感じだよ。
- コールのメリット
- 最小限の出費でフロップを見ることができるため、強い役ができたときにたくさん稼ぎ、できなかったときにはフォールドする戦略と相性が良い
- リレイズするよりもコールしたほうがマルチウェイになりやすいため、マルチウェイが有利な戦略と相性が良い
- リレイズに対するレイズ(4ベット)をされる心配がない
- リレイズのメリット
- 勝率の高いハンドを持っているとき、ポットをより大きくすることができる
- ポットの参加人数を制限できる(=アイソレート)
- リレイズにコールしたり、さらにレイズ(4ベット)をするハンドレンジは限られているため、そうした情報を使って有利にアクションをすることができる



じゃあ、この二つのメリットについて詳しく説明していくね。
コールは投機的ハンド、リレイズは勝率の高いハンドで



まずコールのメリットを見てみると、投機的ハンドと相性が良いことがわかるかな。



前回に説明したけど、投機的ハンドの特徴は「安く参加して強い役を作りたい」「強い役を作ればマルチウェイになっても怖くない」だったからね。



コールするのは投機的ハンドがいいんだね。
じゃあ、リレイズのメリットについても教えて?



リレイズはそもそもの勝率が高いハンドと相性が良いんだ。例えば、めったに配られないAAが来たときは、やっぱり大きく稼ぎたいでしょ。



だからリレイズしてポットを大きくするんだよ。これがリレイズのメリットの1番目だね。



うーん、でもさ、勝率の高いハンドなら、3人とか4人のマルチウェイのほうが稼げるんじゃない?



いや、マルチウェイだとせっかくの[AA]の勝率が低くなってしまうんだよ。下の画像はMP1のオープンレンジと[AA]との勝率だよ。





すごい!80%以上も勝てるんだ。



で、次の画像はMP1のオープンにHJ、CO、自分(AA持ち)がコールして4人戦になったときの勝率。





55%!半分しか勝てないの!?



そしてとどめに5人戦も見てみようか。MP1のオープンにMP2、HJ、CO、自分(AA持ち)がコールしたときの勝率だよ。





ああ、50%を切っちゃった。2回に1回も勝てないなんて・・・。どうしてこんなことになるの?



AAはヘッズアップ(一対一)ならとても強いけど、しょせんはワンペアなんだ。マルチウェイになってしまうと、誰か一人でもツーペアがいるだけで即負けなんだね。



そっか、[AA]でマルチウェイにしちゃうと、投機的ハンドでコールしてるHJとかCOが得するだけなんだね。



そうなんだよ。それなら[AA]はリレイズしたほうがいいと思わない?参加人数を減らすほうが勝率が上がるし、ポットも大きくなってお得だしさ。これがリレイズのメリットの2番目の話だね。



おっけー、マルチウェイになるときはリレイズしたほうがいいんだね。
でもさ、マルチウェイにならないときはどうなの?



例えばMP1がオープンしてきて、BBの自分が[AA]を持ってるときだったら、わざわざリレイズしなくてもコールすればヘッズアップになるよ。



[AA]であえてコールして相手のベットを誘ったほうが、たくさん稼げるってことかな?



そうそう!相手を罠にハメるのって楽しいじゃん!それに、リレイズしたら弱いハンドがフォールドしちゃうかもしれないしさ。



いや、ヘッズアップが確定してる場合でも素直にリレイズしたほうが得だと思うよ。



そうなの?どうして?



[AQ]とか[KJ]みたいなハンドがフロップでペアになる確率は1/3しかないんだよ。だから、相手は3回に2回は弱いハイカードしか持ってないんだ。



ふーん。AAで罠にかけようとしても、相手はいつもベットしてくれるわけじゃないんだ。



そうなんだよ。しかも、仮にフロップ、ターン、リバーで相手が3回ベットしてきたとしても、今度は自分の[AA]のワンペアが勝ってるのかどうか怪しくなるよね。



そっか、[AA]はツーペアに負けちゃうんだっけ。うーん、でも勝ってるかどうかわからないのは、リレイズしたときも同じなんじゃない?



いや、リレイズしておけば勝ってるか負けてるか判断しやすくなるんだよ。例えばさ、ボードが[Q][9][7][5][4]だとするよね。



うんうん。



[AA]でリレイズしておけば、相手の弱いハンドはフォールドしてる可能性が高いから、ツーペア[Q9]、[97]とかストレート[86]を持っていないって判断できるんだ。



そっか、[Q9]とか[86]はリレイズにコールしにくいから、相手はツーペアとかストレートは持ってないと推理できるわけね。



そうそう。でも、相手のオープンにリレイズせずにコールしちゃうと、[Q9]とか[97]がフォールドせずに残っちゃってるから、[AA]のワンペアで勝ってるか負けてるかよくわかんなくなるよね。これがリレイズのメリットの3番目の「情報を使って有利にアクションする」ってことだよ。



なるほどねー。やっぱ強いハンドは素直にリレイズするのが基本なんだね。
リレイズのベットサイズは3倍が基本



ところでジョーズくん、リレイズするときの額はどのくらいがいいの?



リレイズのベットサイズは相手のオープン額の3倍が基本だよ。例えば、相手が3bbでオープンしてきたなら9bbのリレイズをすればいいんだ。



あと、マルチウェイのときは、プレイヤーがコールしてる分だけリレイズサイズをさらに増やすべきだよ。例えば3bbでオープンしてるプレイヤーがいて、2人がその3bbにコールしてるなら、自分を入れて4人のマルチウェイだよね。そのときは(9bb+3bb+3bb)=15bbのリレイズをするといいよ。



ふーん、すごく大きなリレイズをするんだね。小さいリレイズだとだめなの?あと、マルチウェイで額を増やすのはどうして?



簡単に言うと、リレイズの額が小さすぎると、相手のオッズが合ってしまうからだよ。マルチウェイのときはさらにオッズが合いやすくなるから、リレイズの額を増やしてオッズを合わなくさせるんだ。詳しい計算はメカジョーズくんに頼もうかな。



ハイ。



あ、メカくん久しぶりだね。元気にしてた?



ハイ、ありがとうございます。チンアナゴ嬢もお変わりないようで。
リレイズサイズとオッズについて、簡単なシミュレートをしてみました。興味のある方は「リレイズサイズとオッズの計算」を開いてみてください。
リレイズサイズとオッズの計算
例えば、BUが3bbでオープン、SBが5bbに小さくリレイズ、BBがフォールドしたというケースを考えてみます。この場合、BUは追加で2bbを出してコールすると、ポットは(BUの5bb)+(SBの5bb)+(ブラインドの1bb)=11bbとなるので、BUのオッズは2/11、およそ18%となります。
オッズとは必要な勝率のことですから、BUはSBに18%の勝率があれば、追加で2bbを出してコールすることが正当化されます。
ところで、[AA]はランダムハンドに対して約82%の勝率があります。逆に言えばランダムハンドですら[AA]に18%の勝率があるということです。ということは、SBの必要勝率の18%という数字は極めて低く、たとえリレイズしたSBが[AA]を持っていたとしても、BUはほとんどのハンドでリレイズにコールできてしまいます。
そのため、SBはリレイズのベットサイズをさらに大きくし、オッズに合わないものにするべきです。オープン額の3倍の9bbでリレイズすると、ポットは(BUの9bb)+(SBの9bb)+(ブラインドの1bb)=19bbとなるので、BUは追加で6を出して19が返ってくる計算ですから、BUのオッズは6/19、およそ32%となります。
仮にSBが[AA]、[KK]、[QQ]、[AK]のようなプレミアハンドのみでリレイズをしているなら、BUはこのリレイズに[AQ]、[AJ]、[AT]などのAハイでコールするのは難しいでしょう。なぜなら、[AQ]、[AJ]、[AT]は[AK]にドミネイトされているため、勝率は23%程度しかありませんし、仮にSBが[QQ]だとしても、フロップでAが落ちて[AQ]にペアができる確率は16%程度しかありません。必要勝率の32%に全く届かないのです。
また、BUは[66]や[77]を持っていたとしても、SBのリレイズにコールできません。SBが[AA]、[KK]などの強いポケットペアを持っていたとき、BUの[66]や[77]の勝率はせいぜい20%です。唯一、[66]や[77]に勝ち目があるとすればSBが[AK]を持っている場合ですが、その場合でもSBのリレイズレンジには[AA]、[KK]、[QQ]などが入っていますので、ポストフロップでのCB(コンティニュエーションベット)にBUが何度もコールするのは難しいでしょう。つまり、BUのオープンレンジに含まれるAハイ、Kハイ、ポケットペアなどのほとんどのハンドでは、3倍サイズのリレイズにコールすると損してしまうのです。以上が3倍のリレイズサイズをおすすめする理由です。
ところで、BUがオッズ計算ができる上手いプレイヤーなら、3倍サイズのリレイズにフォールドすることが多いはずですから、それを逆手に取って、SBはプレミアハンドよりも弱いハンドで3倍〜4倍サイズのブラフリレイズをすることもできます。BUがそのブラフリレイズに対応するためには、[AQ]、[77]、[98s]などのいろいろなハンドでリレイズにコールしたり、あるいは4ベットを返すなどで対応しなければなりません。
マルチウェイのときのリレイズサイズですが、ヘッズアップと比べてポットに入っているチップ量が多いため、ヘッズアップよりもオッズが合いやすくなっています。ですから、ほかのプレイヤーたちに良いオッズを与えないためには、3倍のリレイズサイズを基本に、さらに大きいリレイズをするべきでしょう。
より厳密で最適なベットサイズについて理解するためには、GTO(ゲーム理論)的なアプローチが必要になります。かなり複雑なトピックですので、「上級編」で解説します。3倍のリレイズは「理論上最も適切なベットサイズ」ではないかもしれませんが、標準的で問題の少ないサイズだと考えてください。



ふーん。とにかくヘッズアップならオープン額の3倍、マルチウェイならオープン額の3倍にさらに人数分を足すんだね。



そういうこと!じゃあ、いよいよ次の章では具体的にどんなハンドでリレイズすればいいのか、いつものようにレンジ表で紹介するね。
プリフロップのリレイズレンジ一覧



さて、リレイズするべきハンドだけど、基本的には[AA]、[KK]、[QQ]はどんな状況でもリレイズして大きな問題はないよ。でも、[JJ]、[TT]、[AK]、[AQs]になると、相手のポジションやプレイスタイルによってコールとリレイズを使い分けたほうがいいだろうね。



[AK]でリレイズしないときもあるんだ!



そうなんだよ。もし、タイトなプレイヤーがUTGからオープンしてきたなら、彼のオープンレンジは[AA]、[KK]、[QQ]、[JJ]、[AK]なんかだよね。そのレンジに対してチンアナゴちゃんの[AK]の勝率はそこまで高くないんだ。
だから、リレイズするよりもコールして、フロップでAやKが落ちたり、ストレートやフラッシュに期待したほうがいいときもあるよ。



ふーん。ねえ、リレイズするハンドのレンジ表を見せてよ。



OK。まずはUTGとUTG+1のオープン、もしくはタイトプレイヤーのオープンに対してリレイズするレンジだね。前回のコールレンジ表と一緒にしてみたよ。赤色がリレイズするハンドだね。





次はMP1、MP2、HJのオープンに対してリレイズするレンジだよ。





最後に、COとBUのオープン、ルースなプレイヤーのオープン、マルチウェイのときにリレイズするレンジだよ。





ふんふん、これでコールかリレイズか迷わないで済むね。
ところでジョーズくん、ブラフでリレイズすることってないの?



もちろんあるよ。例えば[A3s]、[76s]、[KQo]なんかは比較的ブラフのリレイズをしやすいハンドだね。実際、ブラフリレイズは時と場合によってはとても強力だよ。でも、ブラフリレイズのレンジは複雑なトピックだから、上級編で説明しようと思うよ。今回はバリューのリレイズレンジだけってことで。



おっけー、了解。



レンジはこれでおしまい。いつ、どんなハンドでオープン、コール、リレイズをすればいいのか、その初歩的なガイドラインを示したつもりだよ。
さて、そろそろフロップをどう戦えばいいのか気になってくるよね。



うん!今まではずっとプリフロップの話だったもんね。



次回からはフロップでのアクションについて説明していくよ。あと、簡単な練習問題も準備中だから楽しみにしててね。



ということで今回のまとめはこちら!
今日のまとめ
- コールは投機的ハンド、リレイズは勝率の高いプレミアハンドで!
- プレミアハンドでコールして罠にはめるのは危険!素直にリレイズしよう
- リレイズのサイズは「オープン額の3倍」が基本、マルチウェイなら「オープン額の3倍+人数分のコール額」でさらに大きく!
- プリフロップでリレイズするレンジ表を公開したよ(ただしブラフリレイズレンジは除く)



よぉーし、これで私のレンジは完璧なはず。ちょっとカジノ行ってくるね!ボロ勝ちしたらジョーズくんにお寿司おごってあげるから!



あ、待って!
まだポストフロップがよくわかってないから・・・行っちゃった。



はい。ということで次回のテーマはズバリ「ポストフロップの戦い方」です。



フロップがめくれたときにまず何を考えて、どうアクションすればいいのか、簡単なガイドラインを作ってみるつもりだよ。お楽しみに!
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